エストレージャ


好きです、好きなんです、大好きなんです。

あなたのためなら死んでもいい、命なんて惜しくない。

愛してます、愛してるんです。



僕がひたすら彼に対する愛を語っているのに、肝心の彼の表情は晴れない。
いや、徐々に暗いものになったと言った方がいいだろうか。

最終的には伏せられた瞼から雫が溢れ出してきた。


どうして泣くんですか。

僕はあなたを愛していて、それを伝えただけなのに。



「ば、かやろ……、」



ああ、泣かないで下さい。

僕はあなたには笑っていてほしいんですよ。

愛してます、愛してます。

だから泣かないで。

何が悲しいんですか、言ってくれなければ僕には分かりませんよ。



「分かれ、馬鹿!」



きっ、と睨み付ける彼の瞳はまだ濡れていて。
未だに涙の流れる頬に指を滑らせた。

ごめんなさい、分からないんです。

僕には分からないんです。



「本当に、分からないのか?」



ぼろぼろと零れる大粒の涙がまた彼の頬を、そして僕の指を濡らした。

分かりませんよ、超能力者とは言っても、閉鎖空間内だけでのことですから。

あなたの心は、言ってくれないかぎり僕にも分からないんです。



「自分の言ったこと、よく思い出してみやがれ。」



言ったこと、ですか?

あなたへの愛を語っただけでしょう。

好きです、愛してます、と。

死ぬほど好きなんですよ。

あなたのためなら命も捨てましょう。



「……じゃあ、自分が死なないと俺が死ぬ、みたいな状況に陥ったらお前は死ぬんだな?」

「当たり前です。あなたを死なせたりはしません。」



ごつ、と左側から音が聞こえて、次いで側頭部に痛みが走った。
どうやら殴られたらしい。

しかも、拳で。



「だからお前は馬鹿だって言ってんだ!」



だってそうでしょう?

愛しい人が死ぬくらいなら自分が死にます。

それであなたが助かるなら、尚更です。

愛してる人を死なせたくないと思うことは間違ってないと思いますが。



「間違ってる!根本から間違ってる!!」



ああ、もう泣き止んでください。

あなたの泣き顔は心臓に悪い。



「お前が、そんなこと言わなければ俺だって泣かなかった。」



何が間違っているのか、検討もつかない。
どうして僕は愛を語ったのに泣かれなければならないんですかね?



「本当に愛してるなら、俺のために生きろよ。
俺のために死ぬなんて、許さないからな!」



僕、が、あなたのために、生きる。



「生きて愛し続けろよ!死んで思い出になんかなるなよ!
俺は、本物のお前がいい!!」



夕日に照らされた彼の瞳が美しかった。
光る涙が宝石のようだった。
紡がれた言葉は砂糖菓子よりも甘くて。

今度は僕が、泣きそうになった。



「こんなこと、言われないでも分かれ、馬鹿。お前なんて嫌いだ。」



本物の僕に愛し続けて欲しいのでしょう?
嫌い、はないですよね。

好きです、好きなんです、大好きなんです。

だからあなたも僕を好きでいて下さい。

ずっとずっと愛していて下さい。

あなたが望むなら、絶対に。


あなたが僕を愛し続けてくれるなら、僕はいつまでもあなたのために生きましょう。

死にません、あなた残して死にはしません。

どちらかが死ななければならないなら、死なないで済む方法を考えましょう。
それが駄目なら、心中、ですか?



「………どーやっても無理なら、それもいいかもな。」



どうやらお許しが出たようですね。



「愛してますよ。」

「知ってる。」



さあ、全ての愛と小さな誓いを、彼の唇に捧げましょう。













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「愛」のオンパレードでした。
恥ずかしい人たちだ。









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