フェイク 2


「俺は人間たちが神と呼ぶ存在。」


最近の世の中じゃ、神様なんているわけがないと否定されがちだがな。
まあ、願いを叶えてくれない神なんて、神じゃないんだろうな。

ぽかんと口を開けたまま固まっている古泉には構わず話を続ける。

多分、耳には入っているだろう。
今は処理能力が追い付かないだけで。


「まずは、あれだな。とりあえずこの世界は三年前に作られたわけじゃない、と言っておこう。
何十億年も前に俺が創ったものだからな。」



―――――思い出せ。



ああ、俺は何を思い出さなければならない。
俺の記憶は全て戻ってきたじゃないか。


「三年前、涼宮ハルヒはこの世界を退屈なものだと考えた。
そして、強く願った。誰よりも強く、この世界が変わればいい、と。」

「ちょ、ちょっと待って下さい!」


やっと正気に戻ったか。
意外に早かったな、と言っておこう。


「何だ、質問か?」

「え、ええ。……確認です。
あなたは神で、この世界を創り、そして涼宮さんに力を与えた。…ですね?」


まだ話してないところまで言いやがったな。
間違ってはないけれどな。


「そうだな、そういうことだ。」

「なら……、あなたはどうしてそれを今まで隠し、今日いきなり僕に言う必要があったんですか?」



ぱちん、と頭の中で何かが弾ける音を聞いた。



…何だ、何かが引っ掛かる。


「今朝、急に思い出したんだ。」

「急に、ですか?」


あれ、どうして思い出した?
そもそも俺は何故忘れていた?


「記憶を封印して、俺は一般人として普通に過ごした。
ハルヒの行動を観察する、ため、に……。」


おかしい。
何かが違う。

忘れていることはこのことなのか?



思い出さなければならないことはことなのか。


「ど、どうしたんです!顔が真っ青ですよ!?」

「大丈夫、だ。……大丈夫。」


思い出さなくてはならない。

どうして、どうして俺は記憶を封印した。
どうして傍観することを決めた。


俺が黙り込んだのを見兼ねてか、古泉は口を開く。


「一年前、でしょうか。僕は機関の人間として、超能力者として、神人と戦っていました。
毎日、毎日です。」


苦しかった思い出だろうに、古泉の表情はひどく穏やかで。


ぱちん、ぱちん、響くのは、木の実が弾けるような。


「冬の始まり、僕は閉鎖空間内で怪我をしました。」



胸元をぎゅう、と押さえ込んでいるから、きっとその辺りに傷を負ったのだろう。





「そんな僕を助けて下さった方が、いました。」











ぱちん、弾ける音、またひとつ。













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かみさまはなんでもしってるわけじゃない。









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