Kiss?


<キス22箇所>

Twitterにて140文字以内で22種類のキス短編を書いてみたのでそのまとめ。
全部が全部甘ったるいです。



(髪:思慕)

夕日に透ける色素の薄い髪。思わずそれに手を伸ばそうとしてそのまま引っ込める。古泉は気付かずにすうすうと寝息を立てていて、ほうと息を吐いた。胸を締め付ける甘い痛みをこらえてそっと顔を近くに寄せる。紅茶色の髪にそっと口づけて。「……甘い」呟きは誰の耳に届くこともなくて。




(額:祝福)

目を瞑れと言われたからそっと瞼の裏に景色を隠した。見えないところで彼の戸惑う気配がする。両肩に手の平の温もり。高い体温がじんわりと心地良い。小さな息遣いが聞こえて、ふわりと額に柔らかい感触。慌てて目を開ければ彼が真っ赤な顔で「おめでとう」と言った。そうか、今日は僕の、




(瞼:憧憬)

ほろりと零れるのは涙だろうか。あまりにも自然に流れるものだから自分でも戸惑う。それを拭うこともせず真っ直ぐに相手を見つめると、困ったような顔をされた。頬を骨張った手で包み込まれ、端正な顔が近付くから目を閉じる。瞼に唇が落ちて、また涙が落ちた。綺麗だと、呟く声がした。




(耳:誘惑)

抱き付いても擦り寄っても、古泉は綺麗な顔で笑っている。俺の抱いている欲望なんて知らないと。それが悔しくて広い背中に腕を回したまま、目の前にある耳にキスをして吐息を吹き込んだ。覗き込んだ顔は知らぬ間に真剣なものに変わっていて、瞳は色を変えている。さあ早く食べて。




(鼻:愛玩)

膝の上に乗せられて、更にじっと見つめられて居心地が悪いったらない。古泉は何も言わないし、俺はただ視線をうろうろと彷徨わせるだけだ。ふ、と笑う気配がして驚いて身を竦めると鼻の上に唇が降る。「…かわいい」甘く溶けるような声に、居心地の悪さは増すばかりだ。




(頬:親愛)

ゆるやかで穏やかな二人だけの帰り道。僕はあなたに友情を感じています、と言われて俺はお前が嫌いじゃないぞと返した。会話の中に含まれた温かなものはくすぐったく、俺は小さく笑う。すっと視界が陰り、頬にかさついた唇が触れた。それは恋愛感情に気付く前の日の話。




(唇:愛情)

好きだと言って好きだと言われて、それでおしまい。そんな簡単なことだったらよかったのに。足りないと求めて古泉の顔を引き寄せる。何度も角度を変えてはキスをして、胸の内が感情で溢れて。この沢山の気持ちは集約してみれば結局は愛しいという一言になるのだと思うと少し寂しかった。




(喉:欲求)

潤んだ瞳に睨み付けられて、僕はその視線から逃げるように彼の喉元を食む、喉仏があって、同性だと分かるのにどうして惹かれるのか。強い力で髪を引っ張られて、驚いて少し離れたら今度は彼が僕の胸元に飛び込んで来た。仕返しのつもりだろうか喉に吸い付かれて、視界が眩んだ気がした。




(首筋:執着)

古泉、と子どもを叱るような声がする。何を咎められるのかと振り向いたら怒ったような表情が見えた。ぐい、と胸倉を掴まれて僕は何をしただろうかと考えを巡らせていると、ちゅ、と首筋からリップ音。お前は俺のだからなと言い残し逃げる彼を捕まえて、さあ行動の理由を問うてみようか。




(背中:確認)

ねえ、と浴室に反響する声。甘い声にぞくりと肌が粟立つ。小さく首を横に振ると、背中の、ちょうど肩甲骨の辺りに柔らかい感触。何度も何度も振ってくる唇に体の熱が上がる。浸かっているお湯の温度も相俟って体温は急上昇していく。ねえ、ともう一度問われて俺は何て答えよう。




(胸:所有)

シャツの上から古泉の胸に耳を当てて、心臓の音を聞く。少し早い鼓動は心地良く、すぐに眠ってしまいそうだ。動いて、今ここで生きていることが嬉しくて愛しくて、白い生地に包まれた心臓に口付ける。俺から離れた瞬間にこの心臓が止まってしまったらいいのにと、心の隅で思った。




(腕:恋慕)

閉鎖空間とやらで鍛えられるのだろうか、古泉の腕は意外としっかりしていて綺麗な筋肉が付いている。世界のために戦うその腕が愛しくて近くにあった肘にキスをしたら顔を真っ赤にして振り払われてしまった。そんな高校生らしいところも好きだなぁ、なんて。俺は小さく笑うんだ。




(手首:欲望)

ぎらぎらとした瞳が俺を真っ直ぐに射抜いて動けなくなる。ぎりっと音がしそうなほどに掴まれて壁に押し付けられた手首が痛くて、痛いと声を小さく上げたら古泉は慌ててその手を離してしまった。痛む手首を見ればほんのりと赤く、この手の痕が消えなければいいのにとそっとキスをした。




(手の甲:敬愛)

あなたのこの手はこんなに美しいのに、どうして誰もかれも救ってしまえるのだろうか。かくいう僕も、彼に救われた。彼が、僕に手を差し伸べてくれたから。そんな綺麗な手が、僕だけのものになればいいのにと思いながら手の甲にキスをする。ああまるで、王子様にでもなった気分だ。




(掌:懇願)

彼の手をしっかりと掴んでほんの少し汗ばんだ手の平を愛でるようにキスをする。手相を辿るようにそっと唇を滑らせたらくすぐったいと怒られたけれど、突き放されたりはしない。もっともっと、彼が僕を好きになってくれますようにと願いを込めて、何度も何度もキスをする。




(指先:賞賛)

いわゆる恋人つなぎの状態で古泉の手を引っ張り上げ、爪の伸びた指先をいたわるように口付ける。一本ずつ、そっと。どうしたんですかと驚く声がするから俺はうっそりと笑って「ご褒美」とだけ言っておいた。お前がオセロで勝つなんて、滅多にないからな。たまにはいいだろう?




(腹:回帰)

綺麗な形のおへそにキスをすれば、ふるふると柔らかいお腹が揺れる。くすぐったいらしい。彼の手が僕の髪をぐしゃぐしゃと引っ掻き回すように撫でるから僕も負けじとお腹にキスをする。こうやってじゃれているとまるで子どもにでもなったような気分がして。ああそんな純粋な頃にはもう。




(腰:束縛)

布団の中から顔を覗かせると、古泉が着替えている背中が見えた。背中にはきっと俺が付けたのであろう爪痕があって気分がいい。ぐっと手を伸ばして抱き着くと上から笑い声が降ってきた。意外とがっしりとした腰にキスをして、またぎゅうと抱きしめた。全部俺のもの。




(腿:支配)

体操服の裾から伸びる足は細く、正直目に毒だ。なのに彼はあまりにも無防備だったものだから耐えきれず腕を掴んでその場から連れ出して、誰の目も届かない建物の裏側に入る。僕をねめつける視線は無視してしゃがみ込み、柔らかい太腿に噛みつくようにキスをした。ちょっとした報復だ。




(脛:服従)

膝を怪我したと言うからソファに座らせて軽く消毒をし、小さな絆創膏を貼り付ける。大げさだと言うけれど血が滲んでいたし、僕が気になったのだから仕方がない。あなたのためなら何でもしたいんですよ、と思いながらも口には出せず、ただそっと脛に唇を落とすだけにしておいた。




(足の甲:隷属)

命令してくれたら何でもしますよ、と言われたけれど何だその気持ちの悪い発言は。お前はM気質だったのか何て。俺も乗っちゃったのは悪いけれど、じゃあ足にキスしてみろよと言ったら本当に足の甲に温かなものが触れて、とりあえずどうしようもなく恥ずかしくなった。




(爪先:崇拝)

僕の隣で小さな寝息を立てている彼の姿は可愛らしく、何もかもが愛しく。起きないのをいいことに足を持ち上げて爪先に噛り付くようにキスをした。切り揃えられた爪の先まで綺麗に見えるから、恋とは不思議なもので。幸せな気分に浸りながら僕は再び眠りに落ちる。













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自分の語彙力を試されますね。これ。









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